程よく光がさす森の中。
緑は多いが、うっそうとしたわけではなく、どちらかと言うと木漏れ日の差す森。
ただしどうしても湿気が多いからか足元は悪い。
「なんか、ひさしぶり」
アルルはそう呟きながら小川をぴょんと軽くまたいだ。かさりと音を立てる草に軽く鼻を鳴らして持ってきた水筒をくるりと回しながら後ろを振り返る。
それにゆっくりとついてきたシェゾがゆるく瞳を合わせると、彼女はひどく楽しそうに笑うのだ。
「何が久しぶりなんだ、何が」
「なにって、キミとこうやって探索することがだよ」
森だよ!森。
とやや当たり前かつよくわからないことを言うアルルにシェゾがあきれたような視線を一つ。
冒険しようよ!とよくわからないことを言い出してアルルはシェゾの腕を引くようにして無理矢理やってきた。見知らぬ森だが空気は悪くない。
しかし、別にそんなに久しいわけではない。むしろどちらかと言うとこう、ともにどこかに探索をするということは過去に比べて増えたような気もするが。
シェゾがついたため息に気付いたかアルルが首をかしげる。
きょとん、という効果音が合致するかのように、まるで、完璧に計算されたような動きをする少女に、目の前の彼が気付いたかどうかは定かではない。
「探索、なら、散々しているだろう」
「そう?」
別にそんな久しいわけではない。
そう、それこそこの世界、というか元の世界を離れてやれプリンプだプワープだと世界を飛び回るくらいには。
そこまでシェゾの思考が廻ったあと、アルルが はかったかのように口を開く。
「シェゾはこの世界でする、探索を、本当に冒険だと思っているの?」
すとんと。
しこりを落とすようにアルルの言葉がシェゾに落ちた。
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