お前が欲しい。お前が欲しい。お前が欲しい。
ただ彼はそう言った。
お前が欲しい。アルルが欲しい。僕が欲しい。
冗談まじりに変態とからかいながら彼の手をすり抜ける振りをして僕はいつだって彼の手を掴む方法を模索している。
彼は僕を欲しいと言うけれど僕を「求め」てはいないのだということに僕は残念ながらもう気づいていた。
魔力を手に入れたいだけでそれ以外は文字通り要らないのだ。
たまたま僕が類い希な魔力を持っていたってだけで実際彼は僕の顔を覚えているのかすら疑問である。以前ルルーにむかって「そんな貧相な体」と言っていたことがあるらしいから、彼の眼には人は魔力でしか見えていないのかもしれないなんて下らない妄想をしてみてはゾッとしたこともある。
ただ喜ぶべきは、彼にとって魅力なのは魔力だけということだ。先のルルーしかり、あれだけ美人でスタイルのいい女性に対してあの態度、何も魔力だけを見られているのは僕だけではない。彼からしたら「全てが魔力」なのだから、やはりその「魅力的な魔力」を持っている自分は喜んでもいいはずだ。
むしろ有り難いことではないか。自分なんて本来ならどう努力したってルルーのような魅惑的な女性になぞなれないというのに、魔力の有無だけで興味を持って貰えるのだから。
使えるものなら何でも使え。
もっとも、まずは、彼を人間に戻すところからはじめなければならないのだが。
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シェ←←←←←←アルが好き。というかみんなにただ無条件で愛されるシェゾがみたいです。
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