「あれ、シェゾ?」
背後から聞こえたアルルの声にシェゾは振り返ろうかどうしようかものすごく迷った。例えばこのまま聞かなかったことにして去ってしまえればどれほどいいか。
そう思ってシェゾは歩みを進めると、背後の声が少しだけ高くなった。
「おーい、シェゾ、聞こえないのー?そこの銀髪のへんたいさーん」
「……だれが変態だよ」
しかし自分を呼びとめる声が煩くて思わず口を開いて振り返ってしまう。
そして視線を合わせたとき。アルルがその異変に気付いた。
「あれ?……シェゾ、だよね?」
「知ってて呼びとめたんだろ」
「え、いや、だって……どうしたの、それ」
振り向いたシェゾの違和感に、アルルが思わず首をかしげる。
それを鬱陶しげに見送りながら、シェゾはため息をついた。
だから振り返りたくなかったのだ。シェゾはどうしようか迷った挙句てきとうに返すことにした。
「なんでもねぇよ」
「なんでもないわけないでしょ、どうしたのそれ」
しかしなおもしつこく聞かれるのでシェゾは視線をそらす。
そして小さく息と吐くと、ぽつりと一言囁いた。
「……借りた。サタンに」

呪いかなんかのなんらかの理由で視力を無くしたシェゾがみかねたサタン様に眼を半ば強制的に貸されるとかすげぇ萌えるなって思ってかいた。
というか赤眼のシェゾが描きたかっただけともいう。
ドッペルとは違うのだよドッペルとは!